「幸せとは何でしょうか?」
「何をもって幸せだといえるのでしょうか?」
この世に生まれてきたからには、誰もが幸せになりたいのでしょう。人間だけでなくあらゆる生命が幸せになるために生きているのかもしれません。
幸せについては、時代によっても、国や地域、さらに個人によって違うのかもしれません。
世界一幸せだと言われている国のひとつはブータンです。もし本当にブータンが世界一幸せだとすれば、それは経済(お金)や物質的な豊かさなどが基準になっているわけではありません。ではなぜプータンが世界で一番幸せな国だと言えるのでしょうか。
GNH(国民総幸福量)という考えがあり、これを最初に取り入れたのがブータンだと言われています。経済の発展を見るものとしてGDP(国内総生産)があり、これはよく知られています。ブータンが重視しているのはGDPではなくGNHのほうなのでしょう。
結局、ブータンがなぜ世界で一番幸せな国かといえば、経済(お金)ではなく、精神(心)の部分が豊かだからです。
日本や世界の多くの国は経済を中心として、お金中心の社会になっています。必然的にお金の力が大きくなり、私たち一人一人に大きな影響を及ぼしています。
一方、多くの国、多くの人では、心の部分はほったらかしになっています。経済的な豊かさが重視され、心の豊かさが軽視される社会になっています。
一方で、ブータンの人たちは、経済的な豊かさではなく、精神的な心の豊かさを大切にしているのでしょう。
世界でもっとも幸せな国は、世界でもっとも心の豊かさを大切にする国なのです。
これはヨガの考えに非常に近いものがあります。
もう1つ幸せとは何かを考えるにあたって、幸福論で有名なアランについて見てみましょう。
アランの幸福論の考えは「幸福になろうとしないと幸福にはなれない」ということです。
これはどういうことでしょうか?
これは普通に生きているだけでは幸せになれないということです。
さらに「それ(幸福)は心と体の使い方できまる」とも述べられています。
幸福になるには心と体が大切だということです。
ヨガの考えと似ていますね。ヨガの技術の中には、現代よく行われている体を使うアーサナ、そして心に関するメディテーション(瞑想)があります。
私たちは、普通に生きているだけでは幸せになることができず、心と体を上手くつかうことで幸せになれるということです。
そして、特に重要なのが心です。
なぜなら体以上に、心というのは扱いが非常に難しいものだからです。
例えば、プロのスポーツ選手は体についてはスペシャリストで、日々鍛錬を欠かしません。しかし実際の試合では能力が十分に出せないことがあります。その大きな理由の1つは心の部分です。心のコントロールがうまくできていないがゆえに、体を上手く扱えないのです。
これはヨガの最も重要な考えに関係しています。
それは、心と体の関係についてです。
アランの幸福論をヨガの観点から言えば「心をコントロールしなければ幸福にはなれない、幸福になるためには心をコントロールする」となります。
ヨガ(Yoga)における幸せとは何でしょう?
これを考えるには、そもそもヨガとは何なのかを理解しなければなりません。
現在一般的によく行われているヨガは身体を使ったポーズが中心になっています。しかし、そのポーズをやっているだけではヨガとは何かがまったく分かりません。
多くのかたはヨガ=ポーズだと思っているかもしれません。
これは大きな間違いです。
ヨガでもっとも重視するのはポーズ、言い換えると体ではなく、心(精神)です!
<心が分からなければ、ヨガは分からない>
先ほどブータンが世界で最も幸せな理由は、精神的な豊かさを重視するからだと分かりました。さらにアランの幸福論でも心の重要性が指摘されています。
そうすると心を重視するヨガを実践すれば、自然に幸せになれるということです。
気をつけないといけないのは、ポーズだけを実践しても幸せにはなれません。いくら難しいポーズができても、いくら身体が柔軟になってもそれだけでは幸せにはなれません。本来のヨガ、心を中心としたヨガを実践しなければなりません。
ヨガでは様々なポーズをアーサナ(Asana)と呼びます。そのアーサナはヨガ全体としてはほんの一部分です。多くのかたはヨガをやってると思っているかもしれませんが、実はヨガのほんの一部分であるアーサナを行っているだけで、実際にはヨガをやっていません。ヨガの準備をやっているだけです。
野球で言えば、キャッチボールをづっとやっているだけなのです。それで野球をやっていると言えるでしょうか?
ポーズ、アーサナだけをやっていては幸せになることはできません。
本物のヨガの実践が、必要です。
本物のヨガを実践すれば、自然に幸せになれます!